じつはあまり知られていないクレジットカードの電文プロトコル

クレジットカードは店頭のPOS端末やATMなどの機器とネットワークで繋がっており、専用のプロトコルを用いて電文の送受信を行っています。

この電文プロトコルは国際規格で共通化されておりISO 8583 といいます。

ISO 8583は、金融取引メッセージの国際規格で、特にクレジットカードおよびデビットカードのトランザクション処理において使用されます。このプロトコルは、ATM、POS(Point of Sale)システム、銀行システムなどの間で行われる取引の標準的な形式を定義しています。

主な特徴

  1. メッセージフォーマット
    • メッセージタイプインジケータ (MTI)
      • メッセージの種類を示す4桁の数値。例:1100(リクエストメッセージ)、1110(応答メッセージ)など。
    • ビットマップ
      • 各フィールドの存在を示す64ビットまたは128ビットのビットマップ。
    • データエレメント
      • 取引に関する情報を持つ個別のフィールド。例えば、カード番号、取引金額、取引日時など。
  2. メッセージタイプ
    • 認証メッセージ
    • 承認メッセージ
    • 決済メッセージ
    • ネットワーク管理メッセージ
  3. データエレメント
    • ISO 8583は、標準的な128のデータエレメントを定義しており、取引に関連するさまざまな情報を含む。例えば:
      • データエレメント2: 主アカウント番号(PAN)
      • データエレメント4: 取引金額
      • データエレメント7: 取引日時
      • データエレメント37: 取引参照番号
  4. 用途
    • ISO 8583は、ATMネットワークやPOSシステム、銀行間ネットワークなどで広く使用されており、カードの認証、取引の承認、決済、逆決済、リバーストランザクションなどの機能を提供します。

簡単なISO 8583メッセージの例を以下に示します。

MTI: 0200
Bitmap: 7230001000000000
DE 2: 1234567890123456 (PAN)
DE 3: 000000 (処理コード)
DE 4: 000000010000 (取引金額: 100.00)
DE 7: 0628121415 (取引日時: 6月28日12:14:15)
DE 11: 000123 (システム追跡番号)
DE 41: 12345678 (カード受け入れ端末識別子)
DE 49: 840 (取引通貨コード: USD)

まとめ

ISO 8583は、金融取引メッセージの交換において標準的なプロトコルであり、そのフォーマットと構造は、取引の効率的で信頼性の高い処理を保証します。この規格により、異なるシステム間での相互運用性が確保され、金融取引の自動化と標準化が促進されます。